http://www.o-d.jp/ |
介入時の様子はこちらを参照。
福岡のクラブO/Dで石野卓球DJプレイ中に警察がやってきた-toggeter
全国的にクラブへの取り締まりが激化する中、ここ福岡では昨年11月にも親不孝通りの『キースフラック』が同じく風営法違反を理由に摘発される事件がありました。
以下、長くなりますので興味のある方だけ。
こちらのサイトに詳しいのですが、風営法について簡単にまとめると、客を踊らせるクラブやディスコ等を営業する場合、各都道府県公安員会の『風俗営業3号営業』の許可が必要となります。しかし3号営業の許可を受ける場合、「ダンスフロアが66平米以上あること」という構造的な要件や、「深夜0時までの営業」という営業時間の制約を受けることになります。
そこでクラブの多くは『深夜における酒類提供飲食店営業』として届け出ます。こちらは24時間営業のファミレスや朝まで営業している居酒屋などと同じく「深夜にお酒を提供する飲食店」としてオールナイト営業が可能です。お店側はあくまで酒類・飲食類の提供と、イベント主催者へ場所の貸出を行なっているだけ、というスタンスで営業を行います。この形で万事OK・・・だったはずなのですが、ここのところ厳密に取り締まるようになった、と。
現行法の範疇でクラブ営業を行うには、「3号営業の許可を受けて深夜0時には店を閉めろ」ということになりますが、そうなると先ほどの構造的要件に照らしあわせて、充分な広さのダンスフロアを持たない小箱は存在できないことになります。このことはニッチな音楽が聞こえる場所が失われることにも繋がりますね。「風営法は音楽文化を衰退させる」という論調を良く耳にしますが、その由縁は恐らくこの辺りにあるのでしょう。
風営法周りの法的な解釈は非常に難解で考えるほど頭が混乱します。というか、バシッ!とこれと言った答えを出せる人はいないのではないでしょうか。
例えば”深夜のファミレス(居酒屋でもOK)に音楽セレクターを呼んで営業する”と違法なのか?それが有線放送ならOKなのか。はたまた”思わず体を動かしたくなるようなダンサブルな音楽”だとアウトで”落ち着いたラウンジミュージック”だとセーフなのか。線引きが良く分かりません。
では、その線引きを分かりやすく捉えるため、ジャズやアコースティックなどの小じんまりとしたライブを行うカフェやバーの場合を考えてみます。この場合、法的にクリアなものにするには食品営業許可あるいは飲食店営業許可の他に、ライブハウスなどに適用される『興行場営業許可』というものを得る必要があるらしいです(これも解釈次第でどうとでもなる話のようですが)。風営法の管轄が公安なのに対しこちらは保健所の管轄となります。しかし極端な話ですが、ライブ中に客が踊ると風営法違反に該当し、公安が飛んでくる、というわけです。「客を踊らせるなら風営法3号営業許可が必要になる」というのが現行法の理屈です。つまり客が踊るかどうかが3号営業許可が必要か否かの別れ目になるようです。例えば音楽に合わせて手拍子を打ったり、体を揺らしたりするとダメなのでしょうか?そもそも”踊る”の定義とは一体???という感じでこちらも迷路に陥ります。
色々と思考を巡らせてもこれすなわち法そのものがグレーゾーン(三ツ矢雄二的な意味合いで)、という結論に至ります。そしてここまでグダグダと要領を得ない文章を書いているのは、風営法のグレーさ加減をそのまま体現しているわけです(文章力のなさを棚に上げつつ)。「漠然として良く分からない」のが風営法というものかもしれません。
そして多くのクラブがこの漠然とした法のもと営業を行なってきたところ急に取り締まりが厳しくなった。店の営業形態も変わっていないし法律も変わっていないにも関わらず。ではこの場合、果たして落ち度があるのはお店か法律か。こうして紐解いていくとクラブカルチャーに関わる人が風営法そのものや取り締まり強化に対して懐疑的な理由が良く分かります。
ひとつ言えるのは「クラブ=犯罪の温床」という前提が取り締まりの強化へ至らせていることは確かだと思います。必ずしも「クラブはクリーンだ!健全だ!」とは思いませんが、営業を取り締まる理由には当然ながらならない、といったところです。